胃アニサキスとは
アニサキスはイカやサバ、アジ、サケなどに寄生しています。アニサキスが寄生した魚介類を生や加熱が不十分な状態で食べると、胃アニサキス症を発症します。激しい胃の痛みを起こしますが、人間の体内ではアニサキスが生息できないため数日から1週間程度で死滅します。
症状
アニサキスは頭部を組織に潜り込ませて内臓表面や筋肉に寄生します。人間が口にした場合も、アニサキスは胃や腸の粘膜に頭部を潜り込ませるため、それによって激痛や嘔吐といった症状を起こします。アニサキスに寄生された魚介類を食べてから6~9時間で症状を起こします。放置しても数日から1週間程度で症状はなくなりますが、好酸球性肉芽腫を生じることがあります。また、まれですがアニサキスが胃壁や腸壁に穴を開けてしまった場合には早急に適切な治療を受けないと命に危険が及ぶ可能性もあります。
原因
生のイカ、サケ、サバ、アジ、イワシ、サンマ、ホッケ、イカなどを摂取することで感染して発症します。加熱が十分ではないものによる発症もあります。中心まで完全に火を通すか、マイナス20℃で24時間以上の冷凍処理を行うことでアニサキスが死滅して安全に食べることができます。
診断・治療
症状が出て数時間以内の場合には、胃カメラによってアニサキスを除去することが可能です。ただし、食事をしてからある程度の時間が経過していないと胃カメラによる検査や除去はできません。小腸などへの寄生が疑われる場合には、X線検査などを行うこともあります。
胃カメラで内視鏡スコープの先から鉗子を出し、胃粘膜に潜り込んでいるアニサキスをすべて見つけて摘出します。肉芽腫になった場合は、通常数ヶ月で自然に治癒します。
アニサキスの予防
鮮魚を調理する場合には、鮮度がいいうちに内臓を取り除いておろしてください。アニサキスは細くて半透明の糸クズのようなもので肉眼でも確認できます。筋肉や皮との間に隠れていないか、しっかり確認して発見したらきれいに取り除きます。なお、筋肉に入ったものをすべて見つけることは難しいため、アニサキスを発見した魚は必ず中心までしっかり火を通してから食べるようにしてください。塩や醤油、ワサビ、唐辛子などの調味料や香辛料でアニサキスは退治できません。必ず火を通しましょう。
なお、アニサキスアレルギーの場合には、加熱・冷凍してアニサキスが死滅していても症状を起こします。アレルギーがある場合は、寄生の可能性がある魚介類を避けるようにしてください。